2022年06月17日 [渋谷区の経営コンサル]
安全四学(向殿政男)を読みました。
要点をまとめますと。
安全を学ぶためには4つあり、
基礎安全学/社会安全学/構築安全学/経営安全学とあります。私の専門分野の経営安全学を中心私の考えも含め記載します。
1.基礎安全学→安全に対する基礎的な考え方です。安全は時ともに劣化し、現状維持は劣化を意味する。たえず努力し、安全を見直さないと常に風化することになります。絶対安全は存在せず、ベネフィットをもとめて何かを行うとき必ずリスクをついて回ります。私たちはベネフィットとリスクを天秤にかけ、このリスクなら今日できると思ったら行動に出るということですね。
2.社会安全学→人間には注意に限界があり、まず機械設備側を安全にする(本質安全化や工学的対策)ほうが有効です。このためリスクアセスメントは普及しています。一方でリスクが小さければよいというものでなく、公園を管理する担当者は遊ぶ道具がなければ安全と思って遊具を撤去しますが、子供は小さな事故を経験することで将来の大きな事故を防ぐ体験になっています。安全な場所で育った子供がかえって心配になります。子供にとって小さなリスクを克服することは体力や気力を育むことにもつながります。
3.構築安全学→壊れたた必ず安全側にとまる「フェールセーフ」、人間が間違えたら止まり、まちがえないようにする「フールプルーフ」、信頼性を高くし機能を維持する「フォールトトレランス」。今後はセイフティー2の段階に進み機会側から人間をみて、同時に人間側も機械とコミュニケーションすることで実現する止めない安全で稼働率・生産性の向上が図れる協調安全に移行すると思います。
4.経営安全→近江商人の「三方よし」のとおり、今後の企業は利潤獲得にみを目指す。株主資本主義から社会のため関係者全員の幸せを目指す公益資本主義やステイクホルダー資本主義の考え方に移行する企業が信頼され且つ利潤も増える。企業が実現する安全は三方よしの通りで顧客の安全(製品安全)・従業員の安全(労働安全)・企業体の安全(経営安全)の視点が大切です。今後は企業の競争力は安全にあり、安全を重視している企業は社会から信頼され利潤をあげる。安全なくして経営なし(PFドラッガー)といわれる所以であります。経営安全にとっての最終目標は企業内に安全人材を育成・定着させ安全文化を醸成すること、つまり報告する文化(きちんと報告しあえる)、正義の文化(罰せら、非難される葛藤を超え、正義に立脚した風土)、柔軟な組織(外部環境変化に柔軟に対応すること、ただし基本は尊重する。不易流行の考え)、学習する文化(他企業に学ぶ災害に学ぶ)を大切にすること・・・ジェームズリーズンより。
安全衛生は現場の課題でなく経営課題であります。経営者が安全を経営の中心に据え、率先垂範でひっぱっていくことが、求められています。災害が発生した後では遅いのです。事前準備が経営に限らず大切ですね。