2022年12月20日 [渋谷区の経営コンサル]
本当の定年後を考える
「本当の定年後」坂本貴志著を読みました。高年齢者雇用アドバイザーの私にとっては参考になる内容でした。
現在政府は企業に70歳までの就業確保措置(努力義務)を要請しております。企業の反応はばらばらですが、人手不足業界(運送・建設・介護・飲食等)においては積極的に高齢者雇用を推進している考えがあります。
さてこの本では、定年前と定年後の収入面・支出面の比較や働き方について述べています。具体的には、@収入支出面では、収入は年金約20万円+保険金3万円+その他2万円=25万円 支出は約32万円で、マイナス5万円になりますので、10万円/月稼げば貯蓄を崩さずに済みます。A貯蓄面では60代中央値が1500万円であり、最近は退職金の低下・中高年の賃金水準の低下・年金支給の引き上げなど厳しい状況の反面、高齢者や女性の労働参加で家計収入を増やし負の影響を相殺している。B働き方については、小さな仕事で無理なく働き社会に貢献することで、今後の日本経済財政の持続可能性に欠かせないものとなっています。現在60歳以上の就業者の創出付加価値額は経済全体の17,2パーセントを占め、この12年間の増加額は23,4兆円と、名目国民生産増加額12年間の増加額19,2兆円とおおきく上回っており、今後ますます伸長することが見込まれています。このために地域に根差した小さな仕事を働き続けることで、自身の老後の豊かな生活の実現と社会への貢献を無理なく両立できる社会が必要です。また高齢期に無理なく働ける人が増えれば、年金財政への依存度が低下し本当に困っている人への福祉への財源も充てることができます。
高齢者雇用を推進する立場として、無理なく・ストレスなく・幸福を感じる小さな仕事を創出することに貢献できればと考えさせられました。