2023年03月11日 [渋谷区の経営コンサル]
人は時に非合理な意思決定をしてしまう。
【行動経済学 真壁昭夫】を読んで感じたこと。
先日某大手物流会社で安全講和を行う機会がありまして、主に労働災害とヒューマンエラーについて
講演してきました。講演資料を作成する中で、人はなぜこんなにヒューマンエラーを多く発生させ非合理な意思決定をしてしまうのか・・・その要因を探るため行動経済学を読んでみました。
人間はミスする・忘れる・後悔する動物と言われております。心理学的にも欠陥だらけのようです。経営の場や普段日常の場で数多くの意思決定を行っていますが、果たして合理的な意思決定ができているのでしょうか。 どうやら実際は非合理な意思決定をしてしまっているケースが多いようです。行動経済学は人間の心理状態を分析し、経済主体がどのように意思決定を行うかを考える学問に対し、伝統的な経済学は、社会資源を有効配分し最大限経済価値を創出し、その価値を社会構成員に適正に配分することを研究する学問です。社会経済は複雑で、また人の心理状態が意思決定に重要な役割を果たしているため、行動を起こす脳の働きや人の傾向を把握することが、非合理な状態を少しでも合理的な状態に移行できるように感じます。
具体的には、人間が群れを成そうとする心理(ハーディング現象)や利益よりも損失の方を相対的に評価する(鏡映効果)等がありますが、中でもやっかいなのが認知的不協和です。だれでもある心理ですが自分自身がこの状態になっているを気が付かないといわれています。(認知的不協和とは、自分の信念と、違う現実が訪れたときに、心の中に不協和(心理的葛藤)は渦巻き、結果として事実の方をもみ消すため、合理的な意思決定が出来ない状態)
海の向こうのウクライナでの戦争は、プーチン大統領の、すぐに制圧できるという強いコミットメントから戦争がはじまりましたが、現実はどうでしょう。彼を今、不協和により大きなストレスを抱えているでしょう。一方でこのストレスを緩和するために事実を無視して、さらに侵攻を強化することや、最悪の事態のボタンを押すことさえ考えられます。失敗を失敗と認める広い心の持ち主であることを強く期待したいと思います。