2023年05月08日 [渋谷区の経営コンサル]
ヒューマンエラーと心理学
ヒューマンエラーと心理学(大橋智樹著)を読んで
〜ヒューマンエラー〜
皆さんはヒューマンエラーを体験したことがありますか?
人はミスをする生き物、忘れる生き物と言われております。
本を読んでいる時、ほかの考え事をしていると、文字ばかり追っているようで(実は文字をみていない)
内容を把握していない時ってありますね。これは儒教の教えで「心、ここにあらば、視れど見えず、聴けど聞こえず、食らえどその味をしらず」にありますように、ハードウエアーの目は、そこに心や意識がうまく機能していないと見えないことを言っています。私も考え事をしていて、赤信号を見ながらわたってしまった経験があります。
危険な現場で「開口部注意」の表示をしていても、それを見えていない人がいるのもうなずけます。注意喚起には工夫が必要です。人は余計なものが追加されるとすぐ気づきますが、あるべきものはないことに気付けないことが多いので、「余計なものを追加する行為・あるべきものとしない行為」を行うこと、つまり危険表示は定期的に目立たせ変更をくわえることが重要なのです。
〜失敗と成功〜
失敗から学ぶことは重要です。一方で成功から学ぶことも大切なのです。
成功とは、失敗に対する懸念があって、失敗してもおかしくない状況にかかわらず失敗しなかったこと、これが成功なのです。懸念が首をもたげかけた瞬間から成功という評価が出てきます。失敗ばかりでなく成功にも着目することとは、リスクの懸念のない成功は無しですから、逆に成功の条件としてリスクを正しく見積っていたことになります。成功した時のリスクの見積もり方を学びましょう。
〜個人の感情のコントロール〜
人は焦り・怒り・緊張等、覚醒水準を適度なレベルに保つことができないことがあります。このような場合、組織や社会が支援してこそ個人の感情のコントロールがうまくいきます。具体的にはハーズバーグの「動機付け衛生理論」の活用がお勧めです。人は仕事に不満を感じる時は、自分たちの作業環境に向かい、一方で仕事に満足を感じる時は、仕事そのものに関心が向かっているといわれます。つまり満足にかかわる要因と不満足にかかわる要因とは異なることを伝えています。モチベーションを挙げて業績向上につなげることも必要ですが、労働災害の観点からは、焦りや怒り緊張等における覚醒水準を適正に保つために、不満を減らす働きを持つ衛生要因の充実こそが意欲維持に重要で、満足度を上げることでなく、不満足を減らすことによって感情のコントロールを支援できます。作業環境改善はそう言う意味で大切ですね。