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2023年01月02日 [渋谷区の経営コンサル]

ROIC経営について

ROIC経営についてコメントします。(あずさ監査法人著の本を読んだ感想)

 日本企業は売り上げ至上主義から利益重視へと、さらにキャッシュフロー経営へと一定期間での成果を求めてきました。これは間接金融に依存していたため金融機関など物言わぬ株主が、返済原資たる利益やCFを要求してきたからです。一方で資本コストを上回るリターンを企業に期待する投資家は資本コストが評価基準となるROICを重視した経営を期待しています。 国内外の機関投資家がコーポレートガバナンスに期待することとして約48%が中長期的な生産性改善を求めているとのことです。つまり持続的なFCFの創出と投下資本に対するリターンを重要視していることです。最近では大手企業を中心にROIC経営が導入されております。以前勤務していたUACJにおいても5年ほど前から経営指標としております。この指標のメリットは、資本提供者から調達した資金が有効に活用されていない事業を特定でき、さらに事業別に事業ポートフォリオ分析(縦軸ROIC 横軸成長性)で事業方向性を見極めて、さらにROICツリー展開(ROICを収益面・効率面で分解する指標)に
よって複数ドライバーに分解し改善課題を明確化することができます。
 企業は資本コスト(つまり株主の期待収益率)以上にリターンを獲得できないと企業価値が棄損してしまいます。つまりROICがWACC以上になること、ROIC−WACC=ROIC Spreadがプラスにさせることで企業価値が向上することになります。さらに投資家との対話により高い透明性と説明責任を図ることで株主が株式を保有する上で安心感を与え、資本コスト(WACC)も低減に寄与することで企業価値に反映されやすくなります。つまりWACC計算上の株主資本コストを導くCAPMの中のβ値が株価の価格変動(リスク)を低下させることで下方硬直性が強くなります。
 企業価値向上には終わりはありません。持続的な企業価値向上に向けた不断の経営改革の実践こそ、日本企業がグローバル競争で勝ち抜くために不可欠の要素となります。
 中小企業診断士として、中小企業を支援する立場としては、サービス業等、資産が小さい企業や、成長期にある企業など、ROIC指標が適さないケースもあります。投資をしてからリターンまで数年かかることを勘案して中期的な視野で評価することが留意点にもなります。目先の利益を追い求めざるを得ない中小企業においては、ROIC指標ともに短期的指標のKPIも併用して評価することが肝要だと思っています。

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